[営業時間]13:00–19:00 *定休日:日、月、祝日
会場:LAG(LIVE ART GALLERY)
〒151-0001 東京都渋谷区神宮前2-4-11 Daiwaビル1F
Opening Reception:11.15 Fri.18:00–20:00
協力:ギャラリー小柳
今から振り返って考えると、幼い頃、私は強迫神経症だった。机の上に置くノートが、机の辺に対して並行でなければ落ち着かず、並行となるように延々と微調整を繰り返していた。カチリと、それが相応しい位置に収まらなければ、私の不安と焦燥は消えなかった。
その他にも、書き上げればキリがないほど、私は、私自身にしか分からないルールを作り上げ、そのルールに厳格に従う事によって、この世界に自分なりの秩序を築いていた。
19歳の頃に、暴露療法により、それらほとんどのルールから私は自由になった。
しかしそれでも、私はずっとある事だけは続けていた。それはノートを机の正しい位置に配置するのと同じ事。つまりは空間の正しい位置にモノを配置する事。最も相応しい場所に、最も美しさを現す場所に。私は正方形で囲まれた結界の中に、完璧なバランスの調和を、秩序を、美を、発見する事で、この世界の確かな輪郭を手に入れる。美という私にとっての揺るぎないリアリティを。また私は空間とモノを繋ぎ、関係性を修復する金継ぎのように、金のラインを作品に使ってきた。
今回の新作は、それら今までの試行錯誤の一つの集大成として、私にとってアイコニックな作品になるのではないかと感じている。正方形の限られた空間に、この世を写す地図を描く、箱庭。
青柳 龍太
この度 LAG では 2024年11月15日(金)より12月7日(土)まで、⻘柳 龍太の個展“SANDPLAY”を開催致します。
多摩美術大学を卒業後、2005 年に作家としてのキャリアをスタートした⻘柳は、これまで独自の審美眼によって収集したモノを用いたコンセプチュアルなインスタレーション作品を発表してきました。時代性、場所、目的の異なる様々なモノを見立て、組み合わせ、再構築する事によって生じる新たな文脈、意味、景色こそが青柳が一貫して追求してきた事です。
“SANDPLAY”(箱庭療法)と題した新しいシリーズ作品を発表する本展では、展示会場内にまさに青柳にとっての”箱庭”を設置します。有史以来、人類は世界との関係性を築く為に、神話という様々な物語を紡いできました。限定された箱庭という小さな世界に込められた密やかな物語を読み取っていただけましたら幸いです。
本展では、今年中国杭州の天目里美術館にて開催され、⻘柳がキュレーションを務めた「古道具坂田 僕たちの選択」展の図録(出版:美術出版社、印刷:LIVE ART BOOKS)も特別展示、販売いたします。この機会に是非ともご高覧ください。
RELATED EXHIBITIONS|
関連展⽰情報
UNSOLD UNSOLD
参加作家:杉本博司、ソフィ・カル、青柳龍太
会期:11月21日(木)-12月14日(土)*定休日: 日、月、祝日
オープニングレセプション:11月21日(木)17:00 – 19:00
営業時間:12:00 – 19:00
会場:ギャラリー小柳/ 〒104-0061 東京都中央区銀座1-7-5 小柳ビル9F
https://www.gallerykoyanagi.com/
BOOKS|
書籍情報
『古道具坂田 僕たちの選択』
会場にて限定販売いたします。
発行:カルチュア・コンビニエンス・クラブ
発売:美術出版社
著者|天目里美術館
監修|青柳龍太(同展キュレーター、現代美術家)
デザイン|横川知宏
※中日英トリリンガル
価格:25,000円+税
判型/仕様:B5判/スリーブ箱・タトウ付、シュリンク
ページ数:830ページ ※製本されていない415枚の紙片から構成
古美術商であり優れた審美眼の持ち主であった坂田和實(1945〜2022)。その中国初個展となる展覧会「古道具坂田 僕たちの選択」の図録を、同展キュレーターである青柳龍太監修のもと制作しました。本展の出品作品456点(作品図版 364点)とレンゾ・ピアノが設計を手がけた中国・杭州の天目里美術館での展示風景に加え、李琳(天目里美術館創設者)、月森俊文(日本民藝館職員)、沢山遼(美術批評家)らによる寄稿文を収録した、読みごたえのある一冊です。
415枚/830頁の紙片の集積からなる造本を通して、収録内容やマテリアルの様態を等価に提示し、読者が順番を選択したり組み換えたりすることのできる一冊の書物として構成しました。
(美術出版社WEBサイトより)
PROFILE|
プロフィール
青柳龍太 Ryota Aoyagi
1976年大阪生まれ、京都在住。現代美術家。多摩美術大学卒業後、2005年より主にファウンドオブジェを用いたインスタレーション作品の発表を続ける。2010年から数年間、東京・神楽坂の裏路地で骨董商を営んでいた経験があり、骨董や古美術に造詣が深い。2014年、ギャラリー小柳にて杉本博司、ソフィ・カルとともに「UNSOLD」展を開催。2017年、東京都内にある個人宅の防空壕にて個展「2015」「2016」を開催し、完全予約制で9日間のみの展覧会にもかかわらず多方面から注目を集めた。2019年、ギャラリー小柳にて個展「sign」。2024年、中国杭州の天目里美術館で開催された「古道具坂田 僕たちの選択」展のキュレーターを務める。2018年3月発行の雑誌『美術手帖』よりエッセイ「我、発見せり。」を連載中。